ローラのメッセージ1(Laura's message 1)
ローラのメッセージ(See below for English info)
終戦から五年を経た1950年の秋、ローラは「婦人朝日」(朝日新聞社刊行の月刊女性誌) の編集者から、次のような依頼状を受け取っています。
「ご存じかもしれませんが、日本は新しいながらも伝統があり、革新的かつ保守的で、合理性と非合理性が共存する、そんな思想や信条がごった煮になった国です。終戦から五年たちましたが、いまだに混沌とした状態で料理は完成していません。しかも嵐のように渦巻く国際情勢に私たちの生活は大きく左右されて、若い世代は方向性を見失っています。そこで新年にあたって、ぜひメッセージを送っていただきたいのです」
そんな編集部の要望に応えて、ローラは次のメッセージを日本の婦人たちに贈ってくれました。
どの国の困難も同じ
ローラ・ワイルダー
親愛なる読者の皆様
皆様に何かメッセージをとの御依頼を受けましたのは、この上もない栄誉でごいざます(原文のまま)。私の心をついて出る言葉、それは「お友達になり合おうじやありませんか」の一言でございます。
現在、どの国の婦人も、それぞれ同じような難題にぶつかつて暮らしております。同じように悲しみを体験し、失つた者を悼み、苦しんでいるのでございます。こういうことが、私達を、一つ絆で結びつけております。
世界は混乱に充ち満ちてはおりますけれども、私達は宇宙の支配者を深く信じ、身を委ね、行く手に闇を感じつつも、神の御子の教えの光明を頼りに、自立し、援け合つて進んでいくことができるのでございます。
他のことが、どんなに目まぐるしく変わりましょうとも、人生根本の真理は、決して変わりはいたしません。過去のどの時代よりも、現代は、真の勇気と、正直と、温和心が必要なのでございます。
皆様が経験していられる御苦難に深く同情を感じますとともに、必ず明るい未来の訪れますよう、切に望む次第でございます。 (「婦人朝日」1951年新年号)

キリスト教の根づいていない日本では、どの程度理解されたか心もとないですが、いかにも敬虔なキリスト教徒だったローラらしいメッセージです。
「寄稿作家の横顔」という欄で、編集部はローラについてこのように紹介しています。
「アメリカの教育使節団が日本の子供のために贈つてくれたたくさんの本の中に、この作家が書いた物語がまじつていた。それらはどれも、ローラという名前の少女を主人公とする田園小説で、ワイルダーはこのシリーズの本を八冊書いている。その中の五冊目に当たる「長い冬」を石田アヤ女史が訳されて、昨年出版された。第一冊目の本はローラがまだウィスコンシンの森の家でままごと遊びをしている頃の話で、ローラが学校の先生になり結婚するところで八冊目が終わっている。石田アヤ女史は、この長い物語を「ほんとうの話」と書いておられるが、大体まちがいないであろう」
なぜ女性誌の編集部が、 児童作家のローラにメッセージを依頼したのか不思議に思うかもしれませんが、それは次のような理由からでした。
「世界の人々は今、日本人のことをどんなふうに考えているか。殊に日本婦人の立場について・・・。そこで本誌は世界の人々に新年のメッセージを送つて貰い度いと呼びかけようとした。しかし欧州は郵便その他の都合が円滑に行かぬので一先ずアメリカに限定することにした。その人選については色々と考えたが、読者になじみのありそうな婦人ということで結局、戦後の日本にその作品が翻訳紹介された女流作家ということで決定した。文学的評価は問題にせず、とも角その枠に該当する作家十三人に依頼状を発送した。左の五氏(註: パール・バック、ベティ・ベッツ、アン・ペトリー、メアリ・オハラ、ローラ・インガルス・ワイルダー)からメッセージが来て「三人は帰つた」のアグネス・キース女史「レベッカ」のモオリア女史からは時間がないので不悪という丁寧な返事が来た。他の人々はノウ・アンサーであつた。五氏のメッセージは到着順に載せてある。このメッセージについては次の読者批判で皆さんに論じて頂きたいと思う」
その「読者批判」欄に寄せられた投書には、当時の日本の女性たちが過去の戦争の悪夢や生活への不安にいかに脅えているか、にじみ出ていたそうです。そんな彼女たちにとって、「婦人朝日」に掲載されたアメリカ人のメッセージは暗夜の灯のように有り難いものだったようです。それと同時に、無条件的な崇拝からむやみに有り難がるものも多かったらしく、そのような姿勢は感心できないと、「読者批判」の選者は辛口の感想を寄せています。
「読者批判」欄には、三人の読者の投書が掲載されました。その一人は、ローラを含めた三人の作家が「宇宙の支配者を信じて、神の教えを頼りに進んでいけば、何も恐れることはない」と述べていることに対して、「これがアメリカ国民の信念で、ここに幸福の源があり、アメリカが降盛を来した原因である。宗教―つまり根本原理を持たない日本人の不幸はここにある」と、深い信念を持たない日本人の哀れさを悲しんでいます。
ローラのメッセージの載った「婦人朝日」は、ミズーリ州マンスフィールドのワイルダー図書館に保存されています。ロッキーリッジ農場を訪ねたときに、ぜひチェックしてみてください。
( このローラのメッセージは、十年くらい前、リトルハウスクラブの会報誌に何度か掲載されました。これは2007年の創刊記念二十周年号に発表したものを転載したものです。写真と記事の無断転載を禁じます。ⓒ「大草原の小さな家」の暮らし ⓒリトルハウスクラブ)
Laura's message for Japanese women
In 1950, five years after WW鵺, the editor of Fujin Asahi magazine(Woman's Asahi magazine)requested Laura to send a new year message for Japanese women. Woman's Asahi was a woman's monthly magazine for home economics, fashion, politics, literature and so on. It was a high level and intellectual magazine, and it was quite different from woman's magazines of today. Woman's Asahi requested a message to thirteen female American writers and five of them replied. Laura was one of them. Her message was very short.
In January 1951, Woman's Asahi had a special issue "Message from female American writers". Laura's message appeared along with other messages by Pearl Buck, Betty Betts, Mary O'hara,and Ann Petry.
" Let's be friends", Laura said in the beginning of message. "All the women in every country are experiencing similar difficulties and sadness." She believed that it made all of us unite together.
Laura's message also showed her faith as a christian. "It was full of chaos and darkness in this world" she said. However, she believed if we believed in God and follow him, we could be independent and kept going by helping each other.
"Things of value have never been changed. It is much more important than ever to have courage, being honest and gentle." This passage reminds of her famous message to children.
In the end, she sympathized the situation of Japanese were facing and was wishing to have a bright future.
My articles on Laura's message appeared a few times on the newsletter of Little House Club about ten years ago. LHC had the 20th anniversary last year and this message appeared again on the anniversary newsletter. (ⓒmeadowlark, ⓒLittle House Club)
2008.08.14 | Comments(0) | Trackback(0) | コーヒーブレイク(coffee break)








「大草原の小さな町」によると、ネリーといさかいがあったとき、かあさんがローラをたしなめるために、ひと言書いてくれたとあります。でも、ここにあげたサイン帳にはかあさんの書いたものはありませんでした。メアリー・バウアーやミニー・ジョンソンの書いたものは載っていましたが、「大草原の小さな町」に書かれている詩とは違います。だから、これが「大草原の小さな町」に書かれているサイン帳かどうかわかりません。でも、アイダの書いた詩は載っていて、それは「大草原の小さな町」に書いてあるものと同じなので、アイダの詩はこのサイン帳から取ったのでしょう。



