メープルシロップ・先住民編(Maple syrup-Natives)
砂糖雪が降った日、とうさんは大急ぎでじいちゃんの家へ行き、その晩はずいぶんおそく帰ってきました。そのとき、牛乳わかしの鍋ほどもある、茶色いメイプルシュガーと、メイプルシロップをおみやげに持って来てくれました。夕ごはんのしたくが出来ると、ローラとメアリーは、お皿のそばにメイプルシュガーのかたまりをおき、パンにメイプルシロップをつけて食べました。当時の子どもたちは、一年間に板チョコ一枚分しか甘いものを食べられなかったので、メイプルシュガーは、春先のお楽しみだったに違いありません。
そのメイプルシュガーやシロップを発見したのは、先住民でした。彼らがどうやって発見したのかは、いろんな説があります。ある男の子が、かえでの樹から甘い水を飲んでいるリスを見つけた、泉に水を汲みに行こうとした女性が、かえでの根元にたまっていた水で肉を煮込んだらシロップが出来た、といったものです。「水」というのは樹液のことで、樹液は水のように透明で、煮込むと蜜色のシロップになります。彼らがどうやってあの甘くておいしいシロップを作っていたのか・・・・? それは気の遠くなるような手間と時間のかかる作業でした!





感想
樹液の九十パーセント以上は水分なので、水のように透き通っていてほとんど甘くありません。樹液を火にかけているうちに、少しずつ蜜色の甘いシロップになります。樹液の糖分はほんの三パーセント。スプーン一杯のシロップを作るのにスプーン四十杯の樹液、スプーン一杯の砂糖にはスプーン百杯の樹液が必要です。
樹液が採れるのは、春先の、気温が上がったかと思うと急に下がって寒くなったときです。雪がとけたのでローラが外で遊びたいと思ったら、急に冷え込んで雪が降りました。これが砂糖雪で、メープルシロップ作りもたけなわとなります。それから数週間が勝負です。芽が開いてしまうと苦くなってシロップは作れません。
カエデの樹は夏にグルコースという糖を生産して、冬の間、根元に貯蔵しておきます。春先になって気温が上がると、樹液も上昇して、それがシュークロスという糖に変わります。この糖からシロップや砂糖が作られます。シロップは温かいと発酵したりするので、保存には砂糖の方が向いていました。
当時、鉄の鍋で煮込んでも、シロップを作るのに数日間かかりました。焼けた石だったら、どのくらいの時間がかかったのでしょう? 考えただけでも気が遠くなりそうです。蜂蜜も甘味料として使われましたが、ミツバチはヨーロッパから持ち込まれたものです。先住民はそれまで蜂蜜を知りませんでした。白砂糖もヨーロッパ人によって西インド諸島から輸入されたものです。だから、先住民にとって、メイプルシュガーは本当に貴重な甘味料でした。