メイプルシロップ・現代編(Maple syrup-Modern)
先住民編、パイオニア編と続いたメイプルシロップの作り方ですが、今回は最終回の現代編です。
今では樹液を採るのに、ふた付きのブリキのバケツを使っています。フタがあるとないとでは大違い。葉っぱやゴミの入り具合が違うし、それにブリキのバケツは軽い! プラスチックのバケツに慣れているせいもあるでしょうが、木製のバケツはすごく重たいです。樹液を集めるために、いくつものバケツを上げたりおろしたりするので、バケツは軽いにこしたことはありません。でも、いくらバケツが軽くなっても、広い森の中をまわって樹液を集めるので、メイプルシロップ作りが重労働なのは変わりません。ただ、煮込むのは機械に放り込んでおけば、あとはお任せなので、この点はずいぶん楽になったようです。





感想
効率からいえば、現代の作り方がいちばんいいし、衛生面でも心配ないけれど、先住民やパイオニアの作り方の方が、目新しさもあって、見ていて面白かったです。それに、機械で煮込んでいるシロップを見ていたら、現代の食べものは台所ではなく、工場で生産されるのだなと改めて感じました。
もう一つ気づいたのは、とうさんやばあちゃんやローラたちにとって、メイプルシロップ作りは、親戚中が集まってワイワイ騒ぐ、お正月やお盆みたいなものだったのに、それもおしまいになってしまったということでした。毎年繰り返されて来た風景を失ってしまったのだなあと。樹液を煮込むたきぎの匂い、空に立ちのぼる白い煙、出来たての甘いシロップ。そういった幼いころの肌にしみこんだ体験は、ローラのかけがえのない宝物になりました。今の子どもたちが、家族連れでメイプルシロップ・フェスティバルに行くのとは、重みが違います。時代の流れもあるし、便利さや効率の良さは人類が追求してきたものだから、否定はしませんが、体験の重みを考えると、それは引き替えるのに値するものなのかなと、チラッと思いました。
当時、砂糖は西インド諸島から輸入され、とても高価なものでした。とりわけ白砂糖は。でも、メイプルシュガーだったら、手間ひまかければ、ただで手に入りましたから、白砂糖がお客様用で、メイプルシュガーはふだん使いでした。でも、今ではまったくの逆です。メイプルシュガーは大量の樹液からほんのわずかしか採れないので、とても高価です。シロップにしても同様で、今ではメイプルシロップまがいの、テーブルシロップなんてモノがあります。
昔は砂糖が高価だったので、甘いものは贅沢でしたが、今のアメリカ人の砂糖の摂取量はハンパじゃありません。何かで読んだとき、アメリカ人一人あたりの砂糖の消費量は、日本人の三倍以上とありました。あれだけコーラやキャンディーを食べていれば、肥満も深刻です。昔は、砂糖の摂取量も少なくて、肉体労働が多かったので、肥満も少なかったのでしょうね。
メイプルシロップ・フェスティバルに行くと、必ずといっていいほど、お昼にはパンケーキが出ます。バターとシロップのたっぷりしみこんだパンケーキ、甘さ控えめのメイプルタルト、子どもたちの喜びそうなメイプルソーセージ。メイプル尽くしのランチに、みな、舌づつみをうっていました。