料理用ストーブ2(cooking stove2)
先回に続いて料理用ストーブで、今回は煮炊き編です。プラムクリークでとうさんがかあさんに贈った料理用ストーブは、薪ストーブでした。薪ストーブでも、いちおうレンジらしきものはあります。でも、あくまでも「らしきもの」でレンジではないです。じゃあ何かといわれると、いちおう鍋を置くところとでも言うのでしょうか。薪ストーブは現代のガスレンジと違って、ストーブ全体が熱くなるので、どこに置いても煮炊きはできますが、いちおう定位置があるようです。
ここにあげたのは、私がいつも使っているストーブです。七つのレンジ(らしきもの)があって、場所によって温度が違います。これは一八六五年に製造されたストーブで、いまでも使えるのだから、ものすごーくお買い得だと思いませんか? 百年の保証付きレンジなんて、なかなかあるもんじゃありません。





感想
初期のストーブは暖炉用の鍋を使っていたこともあって、ストーブの高さは低めに作られていました。暖炉用の鍋は大きくて深さもあるので、それを乗せると、ちょうどいい高さになるという配慮からでした。でも、暖炉用の調理器具はストーブでは使いにくく、結局は買い換えなければならなりませんでした。電子レンジを買ったら、レンジ用の食器に買い換えるようなものでしょう。
徐々にストーブの改良が進み、需要がのびると鍋のサイズも小さくなって、ストーブも高くなっていきました。ぎっくり腰になりそうな重い鋳鉄の鍋もようやく影をひそめ、軽いブリキ製が出回るようになりました。
急ぐときは直火にあてると早く煮炊きができますが、鍋の底がすすで真っ黒になるので、洗うのがたいへんです。それに薪をくべるときにストーブに手が触れると(どうしても触れてしまう)真っ黒になるし、そうと知らずに顔をぬぐったりすると、顔も真っ黒になるし、それに気がついてエプロンでぬぐったりすると、エプロンもまっ黒になります。エプロンにつくと、なかなか落ちません。
オーブンの温度を調べるのに手を入れますが、慣れてくると、ドアを開けたときの熱気で、だいたいわかるようになります。手をずっと入れていると、うでの毛がこげると思っている人がいるみたいですが、そんなことはありません。
料理用ストーブは暖炉よりも熱効率が良く、暖房としてもすぐれているけれども、夏は暑い! まるで台所がサウナみたいになります。「はじめの四年間」で、ローラは「夏用台所」について触れています。これは夏の間だけ使う台所で、家が暑くならないようにストーブを母屋から移して、そこで煮炊きをする台所です。私も夏になると、夏用台所が欲しくなります・・
ストーブ全体が熱くなるので、子どもの事故も頭の痛い問題でした。つまづいてストーブに倒れかかったら、頬と手の皮膚がストーブにくっついてはがれてしまったという話も残されてます。灰をかき出すのもやっかいで、かき出した灰を桶(木製)にいれておいたら、くすぶって火事をひきおこすこともありました。
「はじめの四年間」には、料理用ストーブから出火して、ローラとアルマンゾの家が火事になる話があります。ローズは、「母の手伝いしようと、ストーブに干し草をくべていたら火を出してしまった。火事は私のせいだった」と述べていますが、「はじめの四年間」では、「ストーブに火をつけて、やかんをのせてドアを閉めた。数分後にドアをあけたら火の海だった」となっていて、ローズについては触れていません。
それについてあるアメリカの学者は、「火事はローズの責任ではなく、ローズの思い込みに過ぎないのではないか」としています。実際に料理用ストーブを使ってみて、私もそう思います。料理用ストーブは全体が熱くなるので、子どもが近くに来ると気がきではありません。ふつう親だったら、近くに寄らせない思います。ましてや、たった二、三歳のローズに、干し草をくべさせるような危険な行為をさせたとは思えません。もしもローズにくべさせたのが原因で出火したとしたら、それはローラの責任でしょう。
「はじめの四年間」には、アルマンゾが干し草をストーブの近くに置いておいてくれたとあります。出産からまだ回復していないローラを気づかってくれたのでしょう。それに飛び火して出火したと考える方が自然ではないでしょうか? それにローラは火をつけてから、台所のドアを閉めておいたのですから、ローズが一人で火をくべていたら、焼け死んでいたはずです。